2016年3月11日金曜日

野球賭博問題を考える【告白者に対するメリットが必要】

罪を憎んで人を憎まず


 笠原、福田、松本竜の3名に続き、高木京も賭博に手を染めていたことが発覚した。私見を述べておきたい。

【身内調査の限界】
 いまごろになって4人目が発覚したことで、改めて身内調査の限界が明らかになった。マスコミもコミッショナーも文部科学大臣もスポーツ庁長官も、揃って「徹底的な調査を」と言う。私もそう思う。
 でも「どうやって」徹底的な調査をすればよいのだろう? 調査しているのは身内。しかも捜査ではなく調査であり、強制力はない。
「できれば話してください」
と言われて、正直に
「やってました」
と話すアホがいるだろうか。
 強制力を持った第三者、できれば警察権力が出てこないと、全貌は明らかにならないだろう。
※3/11の報道で、NPBの第三者委が徹底調査に乗り出すことが明らかになった。たしかに身内(巨人)の調査よりはマシだろうが、強制力がないことには変わりない。笠原や胴元の「協力」など得られないだろう。

【それでも身内で何とかしたいなら】
「でも、警察も動いてくれないし、(NPBも含めた)身内で何とかしないといけないんです」というなら、司法取引的な策を実行するしかないだろう。
 現状では、勇気を奮って自ら告白したところで、何のメリットもない。無期限の資格停止処分がくだされるだけでなく、「怖い人」から報復を受ける恐れもある。それなら
「黙っていれば、ばれないかも」
という可能性に賭けるのが普通の発想だ。ばれたところで、自ら告白した場合と状況は同じである。

 そういう状況を打破するには、勇気を出して告白した人にはメリットを与える必要がある。具体的には「無期限ではない処分に軽減する」「退職金を出す」などが考えられる。もう一つ大事なのは「怖い人からの報復行為からは守ってあげる」と約束することだ。
 罪を憎んで人を憎まず。個人を罰することが目的ではなく、全容を明らかにすることが目的なら、考慮に値する策ではないだろうか。

【不可解な点】
 この事件が発覚した当初から、不可解な点がある。なぜ胴元側を強制的に捜査できないのかということだ。胴元側である「飲食店経営のB氏」を調べ上げれば、ほぼ全容が明らかになるだろうに、なぜしないのか。それとも、できないのか。
 警察は「慎重に捜査を進めている」そうだが、なんのこっちゃよく分からない。違法な賭博の胴元をしてたんだから、罪は明らかなのでは? さっさとしょっ引いて、吐かせればいいのに。
 この疑問に答えてくれる報道は、私の知る限り、ない。

【黒い霧事件との比較】
 これは事件そのものではなく、報道への批判である。黒い霧事件を引き合いに出す報道が目立つが、それには但し書きが必要だろう。
「黒い霧事件では八百長行為があったが、今回の事件では八百長行為はなかった(ことがほぼ確実)」
ということである。そこを書かずに「過去には黒い霧事件があった」などと引き合いに出すのは、意図的にミスリーディングを誘っているとしか思えない。

 もう一つ報道に対して苦言を示すなら、高木京の関与が発覚したことは「再発」ではないということだ。高木京の件は、再発ではなく、前回の続きである。それを「再発防止うんぬん」などの記事と並べるのも、ミスリーディングを狙っているとしか思えない。意地が悪い。

【着地点はどこに】
 いったんは収まったと思われた事件が、再び掘り起こされた。さて、どう着地するのだろうか。
 賭博をしていた選手が、もう何人かいる可能性は高い。また、「これ以上いません」ということをを証明するのは難しい。「存在する」ことよりも「存在しない」ことを示すほうが、よほどハードルは高いのだ。
 そのためにも(話は戻るが)B氏の徹底追求が必要だろう。警察がB氏を調べ上げ
「これ以上の選手の関与は認められませんでした」
と結論しない限り
「助かった奴がいるに違いない」
と思われても仕方ない。私もそう思うだろう。
 一日も早い、警察権力による捜査を願いたい。

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