2019年2月25日月曜日

【読書メモ】塩田武士『盤上に散る』(講談社文庫)

 『盤上のアルファ』の続編というかスピンアウト的な内容。前作に登場した真剣師の林鋭生の行方を男女二人が追う。ストーリーの主軸である林鋭生本人はほとんど登場しないところが面白い。
 昭和の香りがムンムンと漂う作品だ。今年から年号も変わり、昭和は「ふた昔」前の時代になってしまう。ネットも携帯もなかった時代、社会がまだ「余白」をたくさん残していた様子が上手く描かれている。
 吉本的なノリは本作でも冴えている。「もずく」にはワロタ。テレビドラマ版では、このノリが全く無視されているのは残念。ストーリーも大幅に違うし、別の話として見るのがよいのだろう。

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