2019年5月22日水曜日

【読書メモ】大西智子『カプセルフィッシュ』(光文社文庫)

 大西氏のデビュー作。表題作を含む5編が収められた、連作中編集だ。1、3、5話目はアラサーの未婚女子であるのりこの視点から、2、4話目は漁村の小学生である遊子の視点から語られる。
 舞台はのりこの祖母の住む漁村。のりこが傷心を癒やすために里帰りした村で、小学生の遊子と知り合い、ストーリーを紡いでゆく。他の村人もまじえて、ほのぼのしたスローなペースで話は進むのだが、それが主人公の女性二人の焦燥感を際立たせる。アラサーにはアラサーの、小学生には小学生の焦りがあり、その閉塞感を見事に描いた作品だ。

 ただ、のりこと遊子の口の悪さには辟易した。この二人は、たまにキレて罵詈雑言を吐くのだが、これが不快感満点。こんな女は願い下げだ。
 ほのぼのはよかったが、ちょっと読後感の悪い作品だった。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿

びわ湖マラソン2025走りました!~滋賀のおっさんランナーのランニング週報~

 2017年7月、45歳を目前に、突如ランニングを始めた。現在は52歳。  2020年12月の神戸トライアルマラソンでサブ3を達成! 自己ベストは2024年3月のびわ湖マラソンの2時間54分台。 ◆総 評◆  いよいよびわ湖マラソン。昨年(2024)に自己ベストを出した、...