前作の『祈りの幕が下りる時』の結末を受け、警視庁の本庁に戻って、結婚もした加賀が、新たな境地を切り開く…ような話かと思いきや、ちょっと変化球。今回の主人公は加賀の従兄弟の松宮刑事だ。
ある殺人事件の捜査と、松宮の出自の解明が、並行して進んでいく。この二つは全く独立の出来事なのだが、「親子」というキーワードで見事に結びついている。抜群の構想力だ。
あっと驚くどんでん返しこそないものの、物語はきちんと閉じて、タイトルの意味も明らかになる。そう、希望の糸が繋がっていれば、それでよいのだ。
変化球だろうが、直球だろうが、グイグイ読ませるところはさすが東野小説。今回もあっという間に読み終えた。
ただ、最近のペースを考えると、加賀刑事シリーズもあと何作読めるのか分からない。次回は直球で加賀自身の物語を進めてほしいものだ。
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