2014年11月6日木曜日

書評 東野圭吾『怪しい人びと』(光文社文庫)

たしかに「怪しい」。しかし、わざとらしい怪しさではないところが、さすが東野氏。


 1998年に刊行された、東野氏の初期の短編集。いずれも一人称で語られる、ミステリー色の濃い短編が七つ収められている。各話には「怪しい人」が出てきて、もちろん事件の鍵を握っているのだが、この怪しさが自然というか何というか、わざとらしくない怪しさなのだ。そのため
「何がどうなったんだろう」
とついつい読んでしまう。

 いかにも怪しい人びとを登場させて、いかにもミステリーな舞台を構築し、読者をグイグイ引き込む古典的なミステリーもいいが、それとはちょっと違う。
「ん? なんかヘンだなあ…」
という感じなのだ。
 それでいて「引き」が弱いことはなく、ページをめくる手が止まらない。あっという間に読み終えてしまった。

 東野氏の作品は、毎度毎度あっという間に読み終えてしまうので、コストパフォーマンスが低いのが難点だ…。



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2014年11月3日月曜日

娘(小1)のピアノの発表会

 先日、娘(小1、6歳)のピアノの発表会があった。娘は今年の春からピアノを習い始めたので、ピアノ歴は約半年。初めての発表会だ。
 曲目はアントレ。数ヶ月前から練習を重ねていた。最初はうまく弾けずにグズることもあったのだが、じきにひと通り弾けるようになり、最後は「聴かせる演奏」を意識できる程度になった。とはいえ、ノーミスで弾き終えられることは少なく
「こんなんで大丈夫なのかなあ」
と親は少し心配していた。

 そして本番。娘は下っ端なので2番目の演奏だ。1番目の子がたどたどしい演奏をしてくれたので、ちょっとホッとした。「みんな、完全な状態で出てくるのかも」と考えていたのだが、そうではないらしい。
 いよいよ娘が登場。


少しミスはあったが、上手に弾き終えた。よくできました。一生懸命、練習した甲斐があったね。
 後で聞くと
「別に緊張せんかったで」
とのこと。鈍感なのか剛胆なのか微妙なところだが、練習を積んで自信があったのだと、前向きに解釈しておこう。それとも、本人がそうとは認識していないだけで、それなりに緊張していたのかもしれない。私も、このくらいの年の頃はそうだったように思う。


 いままでは私が学生時代に買ったキーボードで練習していたのだが、これを期に電子ピアノを買おうと思う。楽譜も読めるようになってきて、かなり一人で練習できるようになってきた。両親の厳しい指導にもめげず、よく頑張っている。自分でやると言い出したことを続けていこうという姿勢は、おおいに評価してあげたい。

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2014年11月2日日曜日

【予想の回顧】天皇賞・秋、スワンS、アルテミスS(2014)

 天皇賞・秋は予想に反して良馬場で行われたため、本命をエピファネイアからフェノーメノに変えた。そのフェノーメノは中団の後ろにつけた。4コーナー手前から外に持ち出すが、直線は不発で14着に終わった。直線入り口で同じような位置にいた馬が勝ったのだから、流れもそれなりに向いたはず。何かあったのだろうか…。
 勝ったのはスピルバーグ。後方待機から外に持ち出して一気に差しきった。昨年のジャスタウェイを思い起こさせる勝ちっぷりだった。名門、藤沢厩舎が久々のGI制覇。今後が楽しみだ。

 土曜は京都でスワンS。
 ミッキーアイルが控えたため、本命のベルカントがハナを切った。「シメシメ」と思っていたのだが、3コーナーでミッキーアイルが先頭に立つという変則的な流れになり、早々に手応えをなくして7着に惨敗。リズムを狂わされたか。
 勝ったミッキーアイルは強かった。序盤は控える競馬を試したのだろう、ハナを譲ったのだが、押さえきれなくなったのか3コーナーで先頭に。直線では前に行った馬が失速するなかで、最後まで先頭を守りきった。マイルCSの1番人気は確定か。

 東京ではアルテミスS。
 本命◎レッツゴードンキは直線で窮屈になりながらもグイグイ伸びて2着に差し込んだが、1着のココロノアイを押さえておらず、馬券はハズレ。

 今週も3戦3敗。他がチョロチョロ当たっているので惨敗は免れているが、パッとしないなあ…。

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2014年11月1日土曜日

【予想と与太話】天皇賞・秋(2014)~消去法で…~

 今日は所用があるので手短に。
 今週は天皇賞・秋。下半期の三大GI開幕戦だ。このレース、外枠が不利なのは周知の通り。この10年、8枠からの連対はなし。7枠で連対したのもゼンノロブロイ(2回)、ダイワメジャー、ウオッカと超のつく一流馬ばかり。それも6年前以前の話で、ここ5年は7、8枠は連対していない。いかに不利かが分かる。

 有力馬は4頭で、そのうち3頭は休み明け。それなら3歳でもイスラボニータを狙おうと思っていたのだが、痛恨の外枠。評価を下げる。
 すると浮上するのがフェノーメノ。まずまずの枠を引いたし、休み明けは得意。これを本命に…と思っていたのだが、天気は雨模様。これも評価を下げる。
 残る2頭のうち、ジェンティルドンナは絶好の最内枠を引いたのだが、宝塚記念9着という成績が気にかかる。宝塚記念からの直行組で結果を残した馬は、いずれも掲示板は確保していた。また、この馬も渋った馬場が得意とは思えず、評価を下げる。
 となると残るのが◎エピファネイア。海外遠征明け初戦というのはやや気がかりだが、角居厩舎ならしっかり仕上げてくれないか。菊花賞馬だが、距離はむしろこれくらいのほうがよさそう。その菊花賞勝利が不良馬場でのもの。馬場も向きそうだ。他の馬の脱落により、押し出された本命というのがどうもパッとしないが…。
 推奨穴馬はデニムアンドルビー。重馬場は鬼かも。

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2014年10月31日金曜日

【予想と与太話】スワンS、アルテミスS(2014)~天気を味方につけるのはこの馬~

 せっかくの三連休なのに雨模様。わが家もいくつか用事があるので、あまり派手に降らないでもらいたい。予想も、雨を考慮する必要がありそうだ。

 そんな土曜は京都でスワンSステークスが、東京でアルテミスステークスが行われる。
 スワンSは今回で57回目を迎える伝統のGII。かつてはマイルCSに直結するメイン前哨戦だったのだが、このところは毎日王冠や天皇賞・秋に押され気味で、かなり影の薄いレースになっていた。
 しかし一昨年はグランプリボスが、昨年はダイワマッジョーレがここをステップに本番で2着に入り、復活の兆しを見せている。さて今年はどうか。

 レースにいってみたい。
 最近の傾向通り、やや薄いメンバー構成。バリバリのGI級はいない。それなら3歳のミッキーアイルが人気するのも頷けるのだが、斤量は57 kg。さらに明日は馬場が悪化しそう。不良馬場の安田記念で惨敗したのは記憶に新しいところ。評価を下げる。
 本命は◎ベルカント。こちらも3歳馬だが斤量は53 kg(牡馬に換算しても55 kg)。前走のスプリンターズSではラスト150 mあたりで先頭に立ち、あわやの場面を作った。1400 mの重賞を二つ勝っており、距離延長はむしろよさそう。ミッキーアイルに行くだけ行かせて、番手から抜け出してほしい。
 推奨穴馬はアフォード。重馬場は得意。展開が向けば怖い。

 アルテミスSはどこからでも入れそうだが、本命は◎レッツゴードンキ。札幌2歳Sで3着は実績上位。岩田はこの馬のために東京に行くのだろうか?

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2014年10月29日水曜日

書評 朝井まかて『先生のお庭番』(徳間文庫)

ほんわか人情小説と思わせておいて…。ニクい。


 舞台は江戸時代の長崎、出島。鎖国の世にあって、外国人の活動が許された人工島だ。タイトルの「先生」とはシーボルトのこと。そのシーボルトの館の庭師として仕えることになった熊吉が主人公である。

 物語はシーボルトと熊吉の出会いから始まる。下働きとして恵まれない生活を送っていた熊吉が、気むずかしくも優しいシーボルトと、遊女上がりの奥方と出会い、関係を紡いでゆく。
 ビクビクしつつも懸命に働き、「先生」や奥方に認められ、人生を切り開く熊吉。出島の人たちと熊吉の暖かい交流の様子に心が和む。
「なるほど、ほんわかした、よい話だなあ」
と浸っていたのだが、後半は一転、怒濤のような展開に。あれよあれよという間に読み終えてしまった。朝井氏の小説は初めてだったこともあり、見事にしてやられた。

 とはいえその本質は人情小説であることに変わりはない。人情とは、ほんわかしたものだけではない、ということなのかもしれない。



2014年10月28日火曜日

書評 森繁和『参謀』(講談社)

落合ドラゴンズの懐刀が、選手育成法、人の育て方の極意を語る。


 落合監督がチームを率いた8年間で、ドラゴンズは何と4回の優勝を飾っている(すごい!)。しかも、残りの4年間も全てAクラス。この超黄金時代をコーチとして支えたのが森氏である。投手コーチ、バッテリーコーチ、ヘッドコーチを歴任し、落合監督の懐刀として政権を支えた。
 その名コーチが選手の育て方、すなわち人の育て方を語ったのが本書である。

 とはいえ、そこには「目から鱗」の指導法が書かれているわけではない。森氏の指導の基本は
「自分で考えられる選手を育てる」
ことに尽きる。
「そんなん当たり前やん」
と思う事なかれ。私も現在子育て中なのだが「自分で考えられる」ように育てることがいかに難しいか実感している。ついつい、あれこれ指図してしまうのだ。子育て経験者には共通の悩みではないだろうか。
 しかし森氏はこれを徹底する。もちろん
「それができない選手は去っていくのみ」
というところが子育てとは違うのだが、それでもなかなかできるものではない。人を育てるにあたっての心構えを教えてもらった。

 その他にも、完全試合目前の山井投手交代の真相や、吉見、浅尾をはじめ、大野など、前評判がそれほど高くなかった選手が次々と台頭する理由、ドミニカの格安選手たちが活躍するわけ、アラ・イバのコンバートの目的など、常勝ドラゴンズの秘密が次々に開示される。プロ野球ファンには垂涎の一冊だ。

 興味深かったのは、落合監督と森氏は、ドラゴンズ以前には接点がほとんどなかったことだ。森氏は西武、ロッテ、日ハム、横浜のコーチを歴任したのだが、目を見張るような実績を上げてきた訳ではない。
 この両者を引き合わせたのは「球界の寝業師」と言われた根本氏だったそうだ。根本氏のもくろみ通り、森氏は落合監督の下で、名参謀としての評価を確立した。森氏が多くの投手を育てたように、落合監督が森氏の能力を存分に引き出したのだ。
 落合監督が森氏をどのように扱って能力を引き出したのかも、随所に書かれている。中間管理職であるコーチをどのように使えば組織が活性化するかがよく分かった。ボスにあたる社長・部長にもおおいに参考になるだろう。しかし私はそのような立場にないので、それを生かせないのが残念だ…。




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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...