2016年6月26日日曜日

【書評】東野圭吾『おれは非情勤』(集英社文庫)

知ってビックリ。小学生に向けて書かれた短編集


2003年刊行の短編集。小学校の非常勤教師が、小学生たちの絡むさまざまな事件を解決する短編が六つと、それとは別の、小学生が主人公のミステリーが2編、収められている。
 いまどきの(といっても10年以上前だが)小学生の様子が描かれる。陰湿で狡猾で生意気な現代の小学生たち。とはいえ、そこはやはり小学生。その本質は、今も昔もそれほど変わらないのかもしれない。そのあたりの雰囲気がうまく描かれている。
 そんな、いまどきの小学校で起きる殺人や自殺未遂などの事件。それをクールな非常勤(非情勤)教師が解決していく。容赦ないようでいて、実はそうでもないような、これもいまどきと言ってよい非常勤教師がいい味を出している。もちろんミステリーとしてもちゃんと閉じている。東野小説、ぬかりなしである。

 巻末の「解説」を読んで驚いたのだが、これらの短編は、何と小学生向けに書かれたものなのだそうだ。言われてみれば、各話のオチはとても明快で分かりやすい。途中のストーリーも回りくどくない。
 では単純なのかと言えば、そうではないところが東野小説。言われるまで子ども向けとは気づかないほどの、クオリティの高さを保っている。さすがだ。




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