2017年1月20日金曜日

【書評】東野圭吾『祈りの幕が下りる時』(講談社文庫)

加賀刑事がガリレオ湯川を超えたかも??


 東野作品なら、ミステリーとして面白いのは当たり前。それに加えて、加賀刑事の人生の背景が見事に描かれる。加賀刑事シリーズ10作目にして、一つの節目と言える作品。見事な出来栄えだ。
 最初はミステリー色の強かった加賀刑事シリーズだが、最近の作品では加賀刑事のキャラクターが前面に出てきている。明らかに阿部寛を意識した人物像になってきているところもニクい(笑)。
 本作ではついに、加賀が日本橋にこだわる理由が明らかになり、加賀の人生にも一つの区切りが訪れる。おそらく新展開を迎えるであろう次作が非常に楽しみな終わり方になっているのもさすがだ。

 ガリレオ湯川シリーズが、最近は湯川のキャラに頼り気味なのに対して、加賀刑事シリーズは加賀のキャラと人情ミステリーの組み合わせがより洗練され、ますます成熟してきている。
 ガリレオ湯川の巻き返しにも期待したいが、現時点では加賀刑事に軍配かな。

《あらすじ》
 ある女が、何のかかわりもない男の部屋で殺害された。そして同時期に起きた、ホームレス男性の焼死事件。この二つの事件が結びつき、さらには加賀の過去の人生がかかわってくる。
 女はなぜ殺されたのか。殺された部屋の持ち主は誰なのか。加賀はなぜ日本橋にこだわるのか。徐々にピースが埋まり、最後に明らかになる構図はいったい。



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