いま「日本人」と呼ばれている人たちは、どのように形成されたのか。もちろん以前から研究されてきたテーマだが、近年になってDNA解析という武器が加わった。現代人のDNAはもちろん、古代人のDNAも解析し、進化の過程をたどる。
これまでの定説であった「まず縄文人がホモサピエンスとして最初に日本にやってきて、そこに稲作技術を携えた弥生人が渡来し、混血していった結果が現代の日本人である」という説はおおむね正しいことが、DNA解析からも裏付けられた。
ただ、「渡来」は大きく2回あったのではないかと、本書で斎藤氏は主張している(うちなる二重構造モデル)。近縁である二つの種族が時期を分けて渡来したのではないかというのだ。
一度目は東南アジアから「海の民」が渡来してきた。彼らが稲作技術を持っていたかどうかは微妙だそうだ。二度目は中国、韓国から稲作技術をもった種族が渡来した。そのため日本の中心部(関東から九州へのベルトライン)と周辺部(東北、日本海側、四国)では遺伝的な違いが見られるというのが斎藤氏の説だ。天孫降臨は、海の民がいる地域への、第2波の渡来を象徴しているという。
しかし、縄文人がどこから来たかなど、まだ分かっていない肝心なことも多い。これからさらに研究が進み、さらなる事実が明らかになっていくだろう。
意外な人種が日本人と近縁だったりするのかもしれない。
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