2015年7月28日火曜日

【書評】奥谷喬司『イカはしゃべるし、空も飛ぶ〈新装版〉』(講談社ブルーバックス)

イカがいかに地球環境に適合した動物かがよく分かる


 楽しく読めるイカ大事典。イカの生態を中心に、その驚くべき能力(しゃべる、飛ぶ、瞬時に色を変える)や世界各国のイカ事情など、イカに関するあれこれがまとめられている。
 イカの種類の多さには圧倒されるばかりだ。ホタルイカからダイオウイカまで、世界中にさまざまな種類がおり、それらが「イカ」という一つのカテゴリー(生物学上では「上目」)に収まっている。イカがいかに地球環境に適合した動物かがよく分かるというものだ。

 イカは魚ではなく、貝の仲間であることはご存じだろうか。だから、頭が真ん中にあって、その上には内蔵が、下に手脚があるのだ。言われてみれば「なるほど」である。
 そしてもう一つの特徴が「目」だ。イカはたいへん目のいい生物なのだそうだ。その目で獲物を狙い、10本の脚(手?)で仕留める。これがイカの繁栄の大きな理由らしい。よく見ると、確かに魚類よりも目が大きいような気がする(ホンマか)。
 こんなイカの秘密が、身近なかたちでまとめられている。

 1989年初版刊行だが、古さは全く感じない。2009年に新装版として新たに出されたのが本書だが、主な内容は初版のままだそうだ。すなわちこの20年間、イカについて新たに分かったことは意外に少ないらしい。
 この例外の一つがダイオウイカである。2013年にNHKスペシャルで放映されたのを見た人も多いだろう。ダイオウイカの動画が撮影されたというのは、イカ界ではやはり大ニュースだったようだ。

 実は私は無類のイカ好きで、それが本書を手に取った理由の一つである。いまもスルメを食べながら、本ブログを執筆している。私の体の約30%(推定)はイカでできているはずだ。
 本書を読んで、ますますイカに親しみが湧いてきた。イカにとっては天敵のような存在なのかもしれないが…。




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