食べ物×男子高校生=安くて腹一杯
『バッテリー』や『一瞬の風になれ』をはじめ、『ドカベン』や『タッチ』など、部活男子は小説やマンガの王道テーマである。しかし、文系の部活をテーマにした作品は少ない。ましてや男子校の料理部を扱った小説は、おそらく本邦初だろう。野球やサッカーもよいけれど、料理を媒介にして繰り広げられるちょっとお馬鹿な青春ストーリーが心地よかった。
食べ物×男子高校生=安くて腹一杯
この永遠不滅の公理を満たす料理が続々登場。それも変に凝ったものではなく、家庭でも作れるようなレシピばかり。海原雄山には一喝されるだろうが、腹の減った男子高校生にはそれでよいのだ。
部員たちの青春の様子は現代風。先輩・後輩の垣根がなく、和気藹々なのだ。「上下関係」などという言葉はもはや死語なのか。
ただ、イラストがあまりにもビジュアル系すぎるような…。いくら草食系といえども、男子校の生徒がみんなこんなに爽やかな訳がない。女性目線から見た、あこがれの男子校ってこういうイメージなのかもしれない。
また(続編を狙っているのか)閉じていないエピソードや展開が散見され、一冊の本としてのまとまりにはやや欠けるように感じた。しかし、これがネット時代の作風なのかもしれない。
【粗 筋】
男子校である末那(まな)高校には、いわゆる料理部である「包丁部」があり、常に廃部の危機にさらされている。主人公は怪我で陸上を諦めて包丁部に入部した2年生。3年生の先輩二人とともに、廃部を免れるべく部員を勧誘し、なんとか二人の1年生の入部にこぎ着けた。この5名の包丁部員たちが繰り広げる青春・男メシ物語。
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