2018年1月28日日曜日

【書評】歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』(講談社文庫)

「こういうのもありだよね」と思わせておいて…


 初めて読んだ歌野作品。非常にゲーム性の強い作品だ。
 5人の男がネットのライブチャット(スカイプを想像すればよい)で集まり、殺人事件のトリックを推理する。一人が出題役、残る四人が探偵役だ。ただ、普通と違うのは、出題役は実際に殺人を行うところ。実際に起きた殺人が問題となるのだ。だから、「犯人当て」は問題にならない。犯人は画面の向こうの誰かさんなのだから。
 この設定の下で、七つの問題が出題され、すなわち七つの殺人事件が起き、それぞれが解かれる。実際にはあり得ない設定だが、ゲームとして読むには面白い。それぞれのトリックや謎解きはなかなかよくできていて
「なるほど、こういうのもありだよね」
と読み進めた。

 しかし、オチはどうなのかなあ…。歌野氏も、賛否両論あるのは承知で書いたのだろうが…私は「否」だ。
 それとも、オチのシーンは作者からの出題であり、結末を導ける材料が揃っているのだろうか。それならひと言、そう書いておくべきだよなあ。
 急に打ち切ることになったアニメの結末が
「悪魔軍団との闘いは、まだまだ続くのだった」
みたいな読後感だった…。

 ここまで書いて、Amazonのリンクを貼るために検索すると、続編が出ていることが判明。おそらく、ラストシーンの謎解きも書かれているのだろう。
 読みたいような、読んでもがっかりなような…。



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