2012年9月17日月曜日

書評 雫井脩介『途中の一歩(上・下)』(幻冬舎)

 男女6人婚活物語(どこかで聞いたようなフレーズ)。
「結婚したくないわけじゃないけど、ガツガツ婚活する気にもなれないし…」
「独身でいいとは思ってないけど、何をすればいいのか…」
という、いまの時代にありがちな、いかにも身の回りにいそうな男女が繰り広げる物語。
 何となく日々の生活に流され、恋愛に腰が重いアラサー~アラフォー男女の気持ちがひしひしと伝わってくる。私は幸いにして(?)30代前半で結婚したのだが、もしそのタイミングを逃していたら、きっと彼らと同じような日々を送っていたに違いない。そのように自然に感情移入できる小説だった。

 主人公は覚本という漫画家。ファミレスで、片手にペンを、もう片手にスプーンをもち、ネームをひねり出すのが日課という、仕事(漫画)に情熱を傾ける連載漫画家だ。そこへ悪友の長谷部と、元担当編集者のタマケンが加わり、婚活をしはじめる。
 その3人と、漫画編集者の綾子、漫画家の優、OLの奈留美の女子3人が絡み合う。
「お、アレとコレがくっつくのか」
と見せかけて
「え、そうじゃなくて、あっちがこっちに惚れてるの?」
と思わせておいて
「お~、そう来るか~」
というどんでん返し、ドタバタ劇が展開される。ストーリーは軽快で、上、下あわせて500ページを超える大作だが、サクサクと読み終えてしまった。

 未婚のアラサー~アラフォー男女の気持ちがよく表れていて、違和感なく読み進められる。同年代の、特に未婚の人は、おおいに感情移入できるだろう。きっと一人は
「あ、オレと同じだ」
「それ、分かる分かる~」
というキャラクターがいるに違いない。あなたは6人のうちの誰に自分を重ねるだろうか。

 個人的には、銀河系軍団の出番が序盤だけだったのは残念だった。続編は、銀河系軍団を主人公した婚活ストーリーだったりして!?




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1 件のコメント:

  1. お一人でいるのが好みなんだそうで。

    分量多いな、と思って上巻だけ買ってみたんですが、結構すぐに
    読めましたね(心配性・・・)。
    すぐ下巻買ってきて、こちらも読み終わってしまいました。
    結構好きなドタバタ感で、たのしかったなぁ。
    雫井さん、初めて読んだ作家さんですが、他の作品も読んでみたく
    なりました。

    色々探していたら、雫井さんを解析?している要なサイトがあって、
    ちょっと驚いた~。
    http://www.birthday-energy.co.jp/

    「発想も大胆で、素材を見つけて加工するのが得意」
    なんだそうで、これからもそんな感じのでお願いします・・・
    と思う今日この頃でした。

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