2014年9月9日火曜日

映画評『四十九日のレシピ』

共感できないシーンや、ストーリーのつながらないところはたくさんあるのに、なぜかポロポロと涙がこぼれてくる


 威張っているくせに、妻にはおんぶに抱っこだった初老の男。その妻とは血のつながっていない娘。そこへ天然ボケのメイド風ギャルと、日本語のあまり話せない日系ブラジル3世の青年が加わって、奇妙な共同生活が繰り広げられる。なんとなく、ありがちな設定なのだが、そこがいい。

「これはないやろう」
「なんか話がよくわからないなあ」
と思っていると、突然、不意を突かれて涙がポロポロ落ちてしまう。ありがちな設定で油断させられるため、そうなってしまうのかもしれない。
「こんな太陽のような、すべてを包んで背後から優しく見守ってくれる人なんているわけないやん」
と思いつつ、その女性の生前の姿が蘇ってくる度に、涙腺が熱くなってしまうのだ。
 普通なら「ありがちやなあ…」としらけてしまうのに、そうならないところが不思議な映画だった。

 一つ苦言を呈しておきたい。見る前には知らなかったのだが、本作は原作小説を映画化した作品である。なるほど、だから腑に落ちない展開がたびたび見られるのだろう。時間の制限もあるのだろうが、そこはもう少しうまく処理するなり、割愛するなりして、ストーリーに整合性を持たせてほしかった。




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