2018年3月26日月曜日

【書評】朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』(集英社文庫)

悪い意味ではなく、ギャップを感じた一冊


 高校生の心の動きを軽やかに描いた青春小説。軽やかでいながら、ずしりとくる、不思議な感覚の作品だ。大人なのか子どもなのか、その境目にいる若者たちの、モヤッとした不安がよく伝わってくる。ベストセラーになったのも、なるほどだ。

 高校生の心がよく描けていると思う一方で、大きなギャップも感じた。私の高校時代とは、何だか「感じ」が違うのだ。それもそのはず、著者の朝井氏は1989年、すなわち平成元年の生まれ。私が高校生のときに誕生したのだから、そりゃ「感じ」も違うはずだ。初めてジェネレーションギャップを感じた小説だった。
 もう一つのギャップは、華やかさ。「おれの高校時代、こんなに華やかな雰囲気だったかな…」という疑問が。しかし、これにははっきりした答えがあった。
「そうや、おれ、男子校出身やん」



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