中学生の駅伝大会を描いた青春小説。6人のランナーが襷(たすき)をつなぐ。1章から第1走者、第2走者…の順に一人称が変わっていき、最後の第6章はアンカーが締めくくるという構成になっている。
各章で語られるのは、その走者がどんな思いで、4月から大会まで過ごしてきたかだ。なので、同じシーンが別の章に出てくることもある。視点(一人称)が違うと、同じシーンでも全く印象が変わる。
いかにも中学生らしい、純粋だが小生意気な感情が微笑ましい。こういうのを微笑ましく感じるようになったとは、私も年を取ったものだ…。
各章が、本当に襷を渡していくようにつながっている。見事な構成だ。そして、章が進むにつれ、最終章の重みが増していく。アンカーの少年の物語が早く読みたくなる。この盛り上げ方も秀逸。
読めば駅伝を走りたくなること間違いなし。さっそく子どもたちを誘ったら、見事にスルーされた…。
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