2014年4月17日木曜日

書評 野崎まど『know』(ハヤカワ文庫JA)

ハードな電脳SF。でも舞台は京都。このギャップがいい。

 すべての情報を処理できるようになったとき、人は神になれるのか。神になった人は、どこへ向かうのか。本書のテーマをちょっと大げさに書けば、こんな感じだろうか。SFにありがちなテーマや状況設定ではあるが、独特の世界観をもった作品だ。
 あらゆる情報を処理できる人間が繰り広げる電脳戦が本書のハイライトだ。その電脳戦が、京都御苑だったり嵐山だったり、古都京都を舞台にしているところが楽しい。
「想像を超えた近未来」と「古きよき古都」がミックスされた、新基軸のSF。

◆あらすじ◆
 舞台は2081年の京都。小型のコンピューター「電子葉」を脳に埋め込むという法案が可決される。人間は、電子葉を通じてネットワークにアクセスし、瞬時に膨大な情報を得ることが可能になった。究極のウェアラブルコンピューターといえば分かりやすいだろうか。
 そういう、いかにもSFチックな状況を設定しつつ、京都を舞台に物語は展開する。丸太町通りや京都御苑など、今と変わらない京都の町並みが登場する。「超ハイテク」と「古都」のギャップがこの物語の隠し味だ。
 主人公の御野・連レルは情報庁の官僚で、ほぼすべての情報にアクセスできる特権を持つ。エリート中のエリートなのだ。
 しかし一人の少女の出現により、連レルの生活は一変する。この少女の向かう先はどこなのか。すさまじい電脳戦の末に少女がたどり着いた場所は…。



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2014年4月14日月曜日

ニック・バーリー『日本はこうしてオリンピックを勝ち取った! 世界を動かすプレゼン力』(NHK出版)

「お・も・て・な・し」の舞台裏

 2013年秋、オリンピックの招致レースで東京が勝利を収めた。その最終プレゼンを指揮したバーリー氏が、プレゼンに込めた意図と、その舞台裏を記した本である。
「お・も・て・な・し」ばかりがクローズアップされているが、45分間のプレゼンには、さまざまな仕掛けが施されていた。この緻密に組み立てられたプレゼンが、東京の勝利を呼び込んだのだ。

 本書の前半(第1章)は、実際のプレゼンの全文と、それぞれのスピーチの狙いが書かれている。7人のプレゼンターの人選はもちろん、その並びや各プレゼンの内容は、徹底的に練られたものだったのだ。
 滝クリ氏の「お・も・て・な・し」が取りあげられることが多いが、実は、隠れたキーパーソンはトップバッターの佐藤選手だったらしい。

 後半の2~4章では、バーリー氏のプレゼン術の真髄が披露される。
 バーリー氏がプレゼンを任された都市(ロンドン、リオデジャネイロ、東京)は、何と三大会連続で誘致合戦に勝利しているのだ。その秘訣が包み隠さず語られている。
 とはいえ「目から鱗」のようなことが書いてあるわけではない。バーリー氏のプレゼンはあくまでも基本に忠実なのだ。逆に考えれば、基本に忠実なプレゼンを貫徹するのがいかに難しいかということである。そしてその「基本」は、以下の3点に集約できる。

・自分たちの「売り」がブレず、一貫していること。
・プレゼン全体で一つのストーリーを語ること。
・自分たちを選ぶことにより、相手にどういうメリットがあるかを訴えること。

「そんなん当たり前やん」と思うことなかれ。この「己を知り、相手を知る」ことを徹底すればプレゼンに勝てるのだ。

 オリンピック招致チームがプレゼン単体を外部に委託していることを、私は知らなかった。一見、細部までよく分かっている自分たちでプレゼンを組み立てるほうが、より配慮の行き届いたものになるような気がするが、そういうものではないらしい。アピールすべきポイントや欠点を冷静に分析し、一つのストーリーを組み立てるには、第三者の視点が必須であることが本書を読んでよく分かった。「プレゼンのプロ」が必要なのは、そいういう理由だったのだ。
 わが身を振り返っても、自分自身のアピールポイントや欠点を簡潔にピックアップするのはなかなか難しい。私に限らず、自分のことは意外に見えていないのだろう。
 ニック氏に私のプレゼンを依頼したら、どのようなストーリーを作ってくれるだろうか。
「アピールできるポイントがありません。無理です」
なんて言われたりして…。



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2014年4月13日日曜日

予想の回顧 桜花賞、阪神牝馬S、NZT 2014

 今週は桜花賞。
 人気の○ハープスターはスタート直後に指定席の最後方へ。本命◎レッドリヴェールは中団に構える。
 レースはフクノドリームが他馬を大きく引き離して直線へ。一瞬
「もしや?」
と思ったが、直線半ばに飲み込まれた。
 直線では、◎レッドリヴェールが馬場の真ん中に持ち出して、いい脚で抜け出してきた。
「よし、そのまま」
と声を出したところに、大外からやってきたのはハープスター。内外分かれての接戦を、最後はハープスターがアタマ差でものにした。
 ハープスターは最後方から大外を回して差しきるのだから、衝撃的な勝ちっぷりだった。しかし、この競馬でいつまで通用するか。力から言えば、もっと引き離して勝ってもおかしくないと思うのだが。いずれ、もう少し前につける競馬をしなければならなくなるだろう。
 レッドリヴェールは、負けたとはいえいい根性を見せた。馬体減りさえなければ、次走も楽しみだ。
 馬券は表裏で勝っていた馬単を取ったがトリガミ。

 同様の阪神メインは阪神牝馬S。
 本命◎ウリウリは中団で折り合いをつけ、馬群を割って抜けてくる。最後はスマートレイアーの鬼脚に屈したが、2着は確保。折り合いに難のある馬なので、1400 mはむしろ向いているように感じた。
 勝ったスマートレイアーが大きく出遅れたときには「シメシメ」と思ったのだが、最後はすごい脚で差しきった。小回りの阪神内回りでこの勝ちっぷりはなかなか見られない。本番(ヴィクトリアマイル)の1番人気は決定か。
 馬券は馬連をチョロッと取ったが、トントン。

 中山ではNZT。
 ◎クインズハリジャンは中団に構えるが、早々に手応えがなくなり、大きく離れた最下位に惨敗。故障があったか。
 勝ったショウナンアチーヴと3着のベルルミエールは不利な外枠を克服してのもの。強い内容だった。

 今週は3戦2勝だが、取った二つのレースはトントンとトリガミ。これではトータルの収支はマイナス。今開催に入ってから低空飛行が続くが、最終週に巻き返したい。

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2014年4月12日土曜日

2014 桜花賞 予想と与太話

 さあ今週は桜花賞。今年に入ってすでにGIが二つ終わっているが、やはり桜花賞になると「いよいよだ」という気分になる。
 思い起こせば、私が初めて万馬券をとったのがこのレース。ファイトガリバーが穴を開けたときである。前年もワンダーパヒュームで桜花賞を制していた田原成貴騎手を背に、見事な差しきり勝ちだった。本命はリトルオードリーだったのだが、当時はそれなりに馬券資金があり、タテ目も押さえていたのだ。調べてみたらいまから18年前(1996年)である。時が経つのは早いものだ…。

 過去の栄光に浸るのはこれくらいにして、レースにいってみたい。
 今年は一頭抜けた人気の馬、○ハープスターがいる。この馬、確かに強いのだが、同厩の先輩ブエナビスタとイメージがダブる。後方一気の脚質のため「負けて強し」のレースが多くなってしまう気がするのだ。今回も、人気ほどの信頼はおけない。対抗まで。
 本命は◎レッドリヴェール。前走も本命に推し、期待に応えてくれた。休み明けは予定通り。前走の再現を期待したい。
 もう一頭触れておきたいのが▲フォーエバーモア。ジュヴェナイルフィリーズで◎、○と接戦を演じた馬だ。2月のクイーンCで予定通り賞金を加算して、ここへ直行。この3頭は人気ほどの差はないと思う。
 推奨穴馬は、穴というほどではないがヌーヴォレコルト

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2014年4月11日金曜日

2014 阪神牝馬S、ニュージーランドT 予想と与太話

 わが家では娘と息子の入学式・入園式が終わり、新生活にも少し馴染んできた。春だなあ。
 気温も上昇し、競馬観戦には絶好の季節である。京都開催が始まったら、久々に突撃したいところだ。

 そんな桜花賞前日の阪神メインは阪神牝馬ステークス。阪神牝馬Sと京都牝馬Sがあってややこしい。ずいぶん昔は阪神のほうがハンデ戦で、京都のほうは別定戦だったため、京都のほうがレベルが高かった記憶がある。しかし、いつの間にか阪神のほうも別定になり、こちらだけGIIに昇格した。なぜ阪神だけ昇格したのか、何か理由があったのだろうか。
 現在はヴィクトリアマイルの前哨戦という位置づけだが、本番にはあまり結びついていない。1400 mという距離のせいだろう。

 レースにいってみたい。
 実績馬と登り馬に加え、各上挑戦の馬もいる混戦模様。別定GIIのわりにはややレベルが低い印象だ。
 このメンバーなら本命は◎ウリウリ。前走も本命に推し、期待に応えてくれた。もう一丁を期待したい。かかり気味に行く馬なので、距離短縮はむしろ好材料か。斤量が2 kg増えることがやや不安だが、他馬と同斤量なら。
 推奨穴馬はサマールナ。各上挑戦だが侮れない。

 NZTは有力馬が不利な外枠に回り、波乱の雰囲気が漂う。
 本命は◎クインズハリジャン。前走は大敗したが、休み明けで距離も長かった。前々走で0.1秒差だった馬が今回人気しているのだから、それを物差しにすれば力は足りるはず。
 同枠のイタリアンネオも怖い。枠連での勝負も考えている。

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2014年4月9日水曜日

娘の保育園卒園式・小学校入学式と、息子の保育園入園式

 今年(2014年)、娘が保育園を卒園し、とうとう小学校に入学した。同時に、3歳下の息子が、保育園の年少組に入園。年が三つ離れていると、この手のイベントが同時にやってくる。

 まずは娘の卒園式。6歳にもなれば、特に女の子はポーズを決めてくる。


 娘はこの保育園には約1年間お世話になった。その前は別の保育園に通っていたのだが、最寄りの保育園に空きが出たというので、転園させたのだ。転園当初は友達ができるまでたいへんなこともあったが、じきに馴染んでくれた。これも先生とお友達のお陰だ。ありがとうございました。

 続いては息子の入園式。わが家は共働きなので、息子は以前からお世話になっているのだが、今回、年少組になるということで、改めて入園式があった。


写真を見れば一目瞭然だが、仏教系の保育園である。
 この保育園が、正確には子ども園(幼稚園と保育園を一元化したところ)なので、今年から初めて通う子どもたち(新入り組)がかなりいる。初めての経験に緊張する子どもたちと、以前から通っていて慣れている子どもたち(継続組)が混ざっているのが面白かった。
 子どもたちももちろんだが、親も新入り組と継続組とではかなり様子が違う。服装をビシッと決めていて子どもにつきっきりなのは、たいてい新入生組の親だ。

 そして一週間後に娘の小学校入学式。


「ついに、わが娘が小学生になったか」
という感慨が湧いてくる…かと思いきや、意外にそうでもなかった。おそらく事前に、ランドセルやら学習机やら、いろいろやることがあったためかもしれない。入学式が、スタートではなくゴールのように感じてしまう面があるのだ。

 とはいえ入学式を見に行って、教室で担任の先生の話も聞いて(若いのに、そつなくこなして、たいしたもんだ)、いよいよ娘も小学生になるんだという実感が湧いてきた(遅い…)。

 ところで、久しぶりに小学校に触れてみて、私の時代(35年前)とは違い、学校がかなり親のほうを向いているというか、親と一緒にやっていこうというか、そんな雰囲気を感じた(実は私の時代からそうだったのに、私が知らなかっただけなのだろうか)。
 親が子どもの就活や婚活の世話を焼くなど、親の過保護が話題になることが多いが、そういう状況を作り出しているのは、親の側ではなくむしろ学校側なのではないか、と思ったりした。
 これはどちらかが原因というわけではなく、「鶏と卵」の関係なのかもしれない。まだ入学式が終わったばかり。これからいろいろなことが分かっていくだろう。

 閑話休題。
 娘は6年間の小学校生活のスタートだ。楽しいことばかりではないだろうが、いろいろなことを経験して、成長していってほしい。
 これからは、親の知らない、自分の人間関係や社会関係を築いていくのだろうなあ。頼もしいような、寂しいような。過干渉にならないように気をつけたい。

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2014年4月6日日曜日

予想の回顧 大阪杯、ダービー卿CT、コーラルS、船橋S 2014

 日曜は阪神で大阪杯。前3頭と後ろ5頭の二つに馬群が分かれるレースになった。人気3頭はすべて後ろの馬群。前の3頭が4コーナーまでスイスイ来たときには
「まさか、このままいかないよね」
と心配したが、キズナが一頭だけ桁の違う脚を見せて差しきった。強かった。
 ◎エピファネイアは、もう少し前につけたかった。切れ味勝負では分が悪いということを、福永騎手も再確認したことだろう。
 馬券は2着に粘ったトウカイパラダイスを押さえておらず、ハズレ。

 中山ではダービー卿CT。本命◎レッドアリオンは出遅れ。すぐに中団まで巻き返すが、4コーナーでは手応えがなく、最後は騎手が追うのをやめるような感じで14着に惨敗。出遅れが痛かったのか、揉まれたのが応えたか。いずれにしろ何の見せ場もなかった。
 勝ったのは内を抜けてきたカレンブラックヒル。やる気が戻ってきたようだ。今後が楽しみ。

 土曜の阪神メインはコーラルS。本命◎クリーンエコロジーは押して押してハナへ。4コーナーで後続に並びかけられると、抵抗できず後退。13着に終わった。「逃げてナンボ」の馬ではないと思うのだが、どうして無理してハナを切りにいったのだろうか。陣営から何か指示があったのかもしれない。想定外の負け方だった。

 中山の船橋Sは、◎ブランダムールが中団から進めるも、直線はまったく反応せず、ブービーの15着に惨敗。何かあったのだろうか。

 今週は4戦全敗。しかも、4レース中3レースは◎が2桁着順の惨敗。開催が変わってツキも変わってしまったか。来週からGIも再開するし、流れを変えたいところ。

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【読書メモ】東野圭吾『あなたが誰かを殺した』(講談社)

 加賀刑事シリーズ、最新第12作。娘が学校の図書館で借りてきてくれたので、文庫化前に読むことができた。  このところ、加賀の人生に絡んだ話が多かったが、シリーズの原点回帰。加賀は探偵役に徹して事件を推理する。いかにもミステリーなミステリー小説だ。  別荘地で起きた連続殺人事...