これも母から借りた東野本(何冊借りてんねん)。『天使の耳』と同様、交通事故を題材にしたストーリーである。
『ダイイング・アイ』は長編で、『天使の耳』は短編集という違いはあるものの、通底する主張は同じである。それは、交通事故の不毛さ、やるせなさである。
ある女性が交通事故で亡くなるシーンから話は始まる(のっけからかなりグロい描写あるので、そういうのが苦手な方はさっさと読み進めることをお勧めする)。
主人公は、とあるバーテンダー。暴漢に襲われ、記憶の一部をなくしてしまう。襲った暴漢は冒頭で亡くなった女性の夫。そして、襲われたバーテンダーはその女性を死なせた男、すなわち交通事故の加害者だ。
暴漢に襲われたことにより、事故の記憶をなくしてしまったバーテン。何だか釈然としない気持ちから、事故の記憶を取り戻そうと調査を始める。そして、亡くなった女性の亡霊が現れ、事故の全貌が徐々に明らかになり…というのがストーリーの概要である。
しかし、事故の部分だけ都合良く記憶が消えてしまったり、催眠術が話のカギを握っていたり、死者の怨念が出てきたりと、正直、ミステリーとしてはあまり入り込めなかった。
とはいえ、東野さんの交通事故に対する思いは伝わってくる。便利さに引きずられ、車の怖さや交通事故の悲惨さから目を背けてはいないだろうか。そういうメッセージをこの小説から感じた。東野さんの、そういう思いを受け止める小説ということにしておきたい…。
東野さんはきっと「車がもっと減ればいいんや。そうすれば事故も減る」と言いたいのだと勝手に類推したい。東野さんのように影響力が大きい人が「車を減らせ」などと公言するといろいろ問題があるので、なかなかはっきりとは言いにくいのだろう(ホンマか)。
ということで、私が勝手に代弁しておく。
車をもっと減らして、事故を減らすべきだ。方法は簡単。車両税やガソリン税をドンと値上げすればよい。車検にドカンと税金をかけるのもいいかもしれない。
「でも、車がないと生活できない」
という声が聞こえてきそうだ。しかし、本当だろうか。自動車産業に洗脳されていませんか?
にほんブログ村
2011年11月9日水曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)
2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。 スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。 スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...
-
さて、いよいよ「なんば」の謎に迫っていこう。 といっても「なんば」の意味自体は謎でもなんでもなく、要するにネギのことである。いったい、前回の長い前振りは何だったのだろうか…。 要するに、「鳥そば」といえば鳥肉入りのそば、「鳥なんばそば」といえば鳥肉とネギの入ったそばを意味す...
-
わが家では土曜、日曜の晩ご飯は主に父(私のこと)が担当している。そのメニューを絶賛(?)公開中。 家族構成は父(アラフィフ)、母(年齢非公表)、娘(高2)、息子(中2)の4人。 娘は中間テストが終わって部活モードに復帰。息子は相変わらず週末は野球三昧。 10月12...
-
2017年7月、45歳を目前に、突如ランニングを始めた。現在は52歳。 2020年12月の神戸トライアルマラソンでサブ3を達成! 自己ベストは2024年3月のびわ湖マラソンの2時間54分台。 ◆総 評◆ 福知山マラソン5週前。気温が下がり、ようやく日中に普通に走れる...
0 件のコメント:
コメントを投稿