続編もよかった。涙が出そうになり、ビールを持つ手が震えた(アル中かっ)。前著『ミミズク』が「愛する」物語なら、この本『毒吐姫』は「愛される」物語だ。
一国の姫であるにもかかわらず、星占いによって捨て子となった、ある女の子。その女の子は、愛されることを知らず育ち、「毒吐姫」となった。「毒吐」とは、文字通り毒を吐くわけではなく「毒舌を吐く」という意味だ。
その毒吐姫が『ミミズク』にも登場したレッドアークの王子であるディアに嫁ぐことになった。一度は捨てられたのに、また政争の道具にされ、怒り狂う毒吐姫。嫁ぎ先でも毒舌をふるいまくるのだが、ディアをはじめ、さまざまな人たちが毒吐姫を大きな愛で、優しく、しかしときには厳しく、包み込む。徐々に心を開く毒吐姫。
ちょっと小難しく書くとこんな感じなのだが、平たく言うと「愛を知らずに育った娘が、嫁ぎ先で大きな愛に包まれて心を開いていく」という、ありふれたストーリーである。
しかし、ありふれた、使い古されたテーマなのに、なぜ涙腺がゆるむのだろうか。その秘密は登場人物、特に毒吐姫の台詞にある。『ミミズク』でも感じたことだが、紅玉さんの台詞のつむぎ方には脱帽だ。
「そろそろ来るでー」
と分かっているのに、いざ台詞が放たれると、ズキーンと心を打たれてしまう。
紅玉さんには「平成の台詞女王」の称号を与えてしまうことにしたい(もうちょっと、いいネーミングはないのか…)。
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