2011年11月25日金曜日

書評 岩明均『ヒストリエ』(講談社)

 第7巻が発売になったので、もう一度、第1巻から読み直した。何度読んでも面白い。
 ヒストリックフィクションとでも言えばよいのだろうか。歴史上の、ある時点を切り取り、そこへ史実とフィクションを巧みに織り交ぜたストーリー。主人公は、古代マケドニアのアレクサンダー大王の秘書官であるエウメネス。この人物を視点にした、紀元前500年前後のギリシャ、ペルシャを舞台にした物語である。

 まず、主人公の人選がシブイ。主人公のエウメネスは、経歴などはほとんど分かっていない人物らしいのだ。
 アレキサンダー大王や、その教師であるアリストテレスが主人公なら、こうはいかなかっただろう。主人公をマイナー人物に設定することにより、どこまでが史実で、どこからがフィクションか分からない、ワクワクする世界が構築される。

 (ほとんどはフィクションと思われるが)ストーリーも秀逸で、歴史上の舞台を拝借しつつ、ハラハラドキドキの知略・謀略が展開される。歴史好きはもちろん、精緻に組み立てられたミステリーが好みの方には、是非とも読んでいただきたい。三国志好きの方には特にお勧めだ。

 詳細はネタバレにつながるので割愛するが、まず4巻までで物語は一周する。そして舞台はマケドニアへ移り、後のアレキサンダー大王、その父であるフィリッポス現国王が登場。最新の第7巻では、いよいよマケドニアが他国に戦争を仕掛け、そこへエウメネスも従軍する。

 次巻では、どんな策略をエウメネスが張り巡らせるのか。早く続きが読みたい。



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿

【お父さんの週末料理】2024年3月20・23・24日<small>~今月のから揚げ大会~</small>

 わが家では土曜、日曜の晩ご飯は主に父(私のこと)が担当している、そのメニューを絶賛(?)公開中、  家族構成は父(アラフィフ)、母(年齢非公表)、娘(高1)、息子(中1)の4人、  雨の多い一週間だった。  3月20日(水・祝)   娘は早朝から部活で神戸へ。息子の野...