2011年12月1日木曜日

書評 東野圭吾『変身』(講談社文庫)

 これまた母から借りた東野小説(何冊借りてんねん)。

 純一という男が事件に巻き込まれ、脳を損傷。しかし、他人の脳の一部を移植することにより、一命を取り留める。手術は成功し、事件の前と同じ純一が帰ってきたはずだったのだが、徐々に性格が変わり始める。移植された脳の人格が、純一の人格を押しのけ、純一の体を支配しようとしているのか…。
 というのが話の概要。

 脳移植という大胆な設定により、「人格とは何か」「自分とは何か」「生きるとは何か」を問いかけてくる。
 どこまで臓器を取り替えたら自分ではなくなるのだろうか。脳さえ残っていれば自分のままでいられるのだろうか。それとも、脳ですら、一部の移植なら自分は残るのだろうか。脳移植こそ無理だが、さまざまな臓器の移植が可能になった現代社会に課せられたテーマであろう。

 東尾さん得意の二転三転のどんでん返しはなく、ストーリーは一本道で進んでいく。ミステリーとしての醍醐味には欠けるが、「自分とは何か」を考え直すきっかけになる小説。



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