2018年5月4日金曜日

【書評】湊かなえ『山女日記』(幻冬舎)

ニュースタイル(?)の湊小説


 湊氏の作品をすべて読んでいるわけではないが、少なくとも私が読んだ中では、かなり異質の作品だ。
 妻が湊作品好きで、図書館でよく借りてくる(本書もそう)ので、10冊は読んでいると思う。人の悪意をえぐり出すようなドス黒さが湊作品の特徴だ、しかし、本書は黒くない。前向きな結末の短編が七つ収められている。
 ニュースタイルなのか、たまにはこういうのも書いてみようと思ったのか。いずれにしろ、今までにない読後感だった。「ぐへえ」となる、いつもの湊小説を期待すると物足りないかもしれないが、サラッと読めて元気をもらえる作品だった。
 黒くない湊小説。たまにはいいかも。



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