2018年5月24日木曜日

【書評】宮部みゆき『ペテロの葬列』(集英社)

後日譚が強烈


 杉村三郎シリーズ第3弾。「逆」玉の輿に乗って、セレブ一家のマスオさんとなった杉村が、次に巻き込まれたのはバスジャック。結局、ジャック犯は自死を遂げ、無事に解放されるのだが、何か釈然としない。犯人から「熱さ」が感じられなかったのだ。
 犯人はなんのためにバスジャックを実行したのか。動機を探ることにした杉村。その過程で見えてくるのは、宮部氏お得意のどす黒い社会悪。人の悪意もさることながら、社会の悪意を描くことにかけては、宮部氏の右に出る者はいない。

 事件の全貌が明らかになり、杉村にも愛妻と愛娘との暖かな生活が返ってきた…と思いきや、衝撃の結末。



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