2022年6月23日木曜日

【読書メモ】瀬尾まい子『傑作はまだ』(文春文庫)

 一度も会ったことのない息子が、25歳になっていきなり訪ねてきて、共同生活が始まる。現実にはあり得ないだろうが、そのあり得ない設定の下で、人情の機微をはんなりと描いていくのが瀬尾小説だ。
 現実にあり得るとかあり得ないとか、そんなのはどちらでもよい。父と息子のやりとりをしみじみと楽しめれば、それでよいのだ。今回も、ほのぼのと心が温まった。

 最後の予定調和はいらない気もしたけど、オチとして必要だったのかな。映画化するなら、主演は岸谷五朗でどうだろうか。

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