2019年1月5日土曜日

【読書メモ】宮下奈都『羊と鋼の森』(文春文庫)

 朴訥な少年が、調律師という仕事に出会うことにより成長していく過程を、静謐に描いた作品。主人公がしっかりと一歩ずつ、誠実に進んでいく様子が心にしみる好著だ。主人公はもちろん、双子の姉妹や同僚の今後も知りたくなること請け合い。続編を激しく希望したい。
 また、宮下氏の独特な感性が独特な言葉で表現されていて、まさに「羊と鋼の森」を歩いているような感覚になる。宮下ワールドという言葉を使いたくなる、独特の作風だ。

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