ドロドロだが不快ではないのが不思議な警察小説
私は警察の内部事情には詳しくないのだが、本当にこういう組織なのだろうか。警察内部のセクショナリズムや縄張り。ドロドロした警察組織が描かれる。しかし、いざとなればその垣根を越えて一致団結する。「ホンマかいな」と言いたくなる。
刑事部から広報部へ格下げ(少なくとも、本人はそう思っている)になった三上という警察官が主人公。しかも三上は、娘の失踪という痛手を抱えている。そこへ、刑事部を揺るがす大事件が発生。三上は刑事部につくのか、それとも広報部としての職務に邁進するのか。
警察人事のドロドロに家庭のドロドロが加わり、ストーリーはドロドロの展開を見せる。小説だから、ある程度は誇張されているのだろうが、警察とはかくもドロドロの組織なのだろうか。
しかし、そういうドロドロにまみれながらも、登場人物たちは自分の生き様を貫いていく。そしてその相互作用が、さらなるドロドロを生む…。
タイトルの64(ロクヨン)とは、昭和64年(数日しかなかった)に起こった誘拐事件の暗号だ。個人も組織も、ロクヨンの影を引きずっている。そして各人の「影」が新たな事件に影響を与える。本庁のキャリア、地方の警察官、マスコミ、被害者。それぞれの生き様がドロドロと絡み合う。
というように、ドロドロ指数Maxの小説なのだが、読後感は不快ではない。ドロドロはドロドロなりに、筋が通っているからなのだろう。ここが横山氏の腕のなせる業か。
いったい、何回「ドロドロ」という言葉が出てきたのだろう。ボキャブラリーが貧困だなあ…。
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