2019年9月30日月曜日

【読書メモ】綿矢りさ『手のひらの京』(新潮文庫)

 綿矢氏が、生まれ育った地であり、現在も住む京都を舞台に書いた小説。

 北大路か北山の西のほう、衣笠近辺の洛中か洛外か微妙な地域(たぶん洛外(笑))に両親とともに暮らす三姉妹が主人公。
 30歳を過ぎた長女の「結婚・出産できないかも」という不安、新人OLの次女が会社で受ける「いけず」、大学院生の三女の「このまま一生京都で暮らすのだろうか」という焦りが描かれる。正直なところ、京都じゃなくても、どこに住んでいてもこういう悩みはあるのだが、京都が舞台だと、はんなりした雰囲気になる。

 祇園祭や大文字焼き(←本書ではこう表現されている)の大御所や、鴨川や先斗町の定番から、マンガミュージアムや近江舞子(滋賀やけど)のマイナー所まで、京都の魅力が山盛り。森見小説のようなディープさはないが、しみじみした京都の良さ(と悪さ)が伝わってくる。
「そうだ 京都、読もう」
と思ったときには鉄板の一冊。

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