2020年8月26日水曜日

【読書メモ】山本太郎『感染症と文明 ─共生への道─』(岩波新書)

 2011年の出版だが、いまこそ読むべきときだ。人類と感染症との歴史が分かりやすく解説された名著。

 人類が農業を始めて文明を興すのと同時に、感染症の「蔓延的な流行」が生じた。インフルエンザに代表されるような、蔓延的な流行が生じるには、一定以上の人口密度が必要なのだ。
 マラリアや天然痘から、HIVやSARSまで、人類の歴史は感染症との戦い抜きには語れない。新大陸(アメリカ大陸)があっという間に征服されたのに、アジアやアフリカはそうならなかったのは、感染症の存在がその理由の一つだった。

 微生物に関する知見を深め、抗生物質を発見し、天然痘を撲滅するなど、人類は感染症を制圧することに成功した。なんて思っていたところにやってきたのが新型コロナ。感染症は過去のものではないことを突きつけられた。
 本書を読めば、この新ウイルスの歴史的な位置づけがよく分かる。新ウイルスを闇雲に怖がるのではなく、正しく恐れることができるようになるだろう。

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