これぞ、ネット時代のミステリー。
殺されたのは超美人OL。そのためこの事件は「白ゆき姫殺人事件」と呼ばれることになった。
一人称による描写から、事件の輪郭が浮かび上がってくる。そしてその一人称が、章ごとに次々と入れ替わる。語り手が変わることで、目まぐるしく変わる犯人像や被害者像。湊氏お得のパターンに今回もグイグイ引き込まれてしまった。
しかし本書がいままでの湊作品(すべて読んだわけではないが)と違うのは「聞き手」がいて、その聞き手がネットを通じて情報を公開しているところなのだ。すなわち本書は、さまざまな一人称による独白からなるメイン部分と、「聞き手」がネットや週刊誌に書いたことからなるサブ部分の2本立てになっているのだ。
これにはやられた。こういうネットの利用の仕方があったとは。まさにインターネット時代の新ミステリーと言えるだろう。さらに、それを楽しむのにインターネットに接続する必要がないというのが、またいい。
湊氏の書くものなのだから、ミステリーの質は高くて当たり前。本作ではさらに、斬新な構成による新時代ミステリーに仕上がっている。脱帽。
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