飄々と記録を積み重ねていくための思考法
棋界の第一人者、羽生善治氏が勝負の極意を語った本。中学生でプロになってから約30年。史上初の七冠を達成するなど、数々の記録を打ち立ててきたトップランナーの思考法が体得できる。
将棋のプロは約150名。そのため、毎週の対局は「知った顔」と指すことになる。お互い、手の内を知った者どうしというわけだ。だから奇襲は、たとえ成功したとしても、二度目は通じない。
そういう世界に生きる勝負師は、ここ一番の勝負所で、また日々の研鑽の場で、どういう方向性でものを考えているのか。数々の修羅場をくぐり抜けて勝利を導いてきたプロセスが明らかになる。
とはいえ、何か特別な考え方や、とても真似できないことが書かれているわけではない。むしろ自然体で、飄々としているように見える。この「飄々」が、羽生世代のキーワードではないだろうか。
羽生をはじめ、武豊、イチローなど、同世代の記録男には同種の「匂い」が感じられる。一見、飄々と、どんどん記録を重ねていくのだ。冷めているわけではないのだが、のめり込むことなく、クールに偉業を成し遂げていく。他の世代、特に団塊の世代などから見ると
「もっと熱くなれ」
とでも言いたくなるかもしれない。
私も羽生世代なので「飄々」の感覚はよく分かる。決してサボっているわけではない。力まずに、粛々と進めていくとでも言えばよいのだろうか。といっても私の場合は、飄々としているだけで、実績が伴わないのが痛いところなのだが…。
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