ハイセイコーの時代の競馬ミステリー
1974年にはじめて出版された競馬ミステリー。十津川警部が競馬界の闇と殺人事件の謎に挑む。
昭和の競馬界の雰囲気がよく伝わってくる小説だ。舞台はハイセイコーの時代の競馬界。競馬が賭博からレジャーへと変化しつつあった時期だ。アイドルホースが登場し、クリーンなイメージを高めていきたいJRA。一方で古い馬主や一部の騎手は、依然として不正行為を繰り返す。さこに名義貸しなども絡んで、競馬界のドロドロした部分が強調されるのは、競馬小説のお約束みたいなもの。
しかしサラブレッドはそんなドロドロとはかかわりなく、ひたむきに颯爽とターフを駆け抜ける。これまた競馬小説のお約束だ。
最後のどんでん返しもお見事。ミステリーとしての質も確かだ。
本書もそうだが、競馬小説と「八百長」はセットのようなものだ。しかし、本書にも書かれているように、競馬で八百長を成功させるのは、実はかなり難しい。
たとえば、特定の馬を勝たせるには、レースに参加する騎手全員が八百長に参加する必要がある。逆に特定の馬を飛ばす(惨敗させる)ことはできるかもしれないが、どの馬が上位に来るかが分からなければ馬券は当たらない。
「人気の馬を外したところまでは正解でも、結局、馬券はハズレ」
なんてのはよくある話だ。あ、それって、先週の皐月賞のおれやんか(ファンディーナをズバッと切ったのに、見事にハズれました…)。
《あらすじ》
デビューから12連勝でダービーを迎える最強馬タマキホープ。しかし、その周辺では馬主・騎手への脅迫や八百長疑惑がもちあがり、きな臭い雰囲気が漂う。そしてついに、主戦騎手が毒殺され、続いて馬主も殺害された。
事件を追うのは、もちろん十津川警部。競馬界の闇をえぐり出し、犯人に迫ることができるのか。
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