2011年11月1日火曜日

書評 東野圭吾『ゲームの名は誘拐』(光文社)

 例によって母から借りた東野小説。
 これまた例によって、一気に読み終えてしまった。

 会社の重要なプロジェクトから更迭された、やり手のバリバリサラリーマンである佐久間が主人公。「ヤンエグ」という言葉がぴったり来るような男だ(死語やな…)。
 プロジェクトから外されてふてくされていた佐久間。何の気なしに、自分の更迭を指示した男の自宅へ向かう。その男とは、自動車会社の副社長である。ブラブラしていると、ひょんなことからその家の娘と出会う。そして佐久間は、その娘と共謀し、狂言の誘拐を企てる。その娘が誘拐されたことにし、身代金を奪おうというわけだ。そして「誘拐という名のゲーム」がスタート。佐久間と副社長の息詰まる駆け引きが繰り広げられる。というのが粗筋。

 いつも通り、グイグイとストーリーに引き込まれてしまう。身代金の受け渡しなど、圧巻の展開だった。

 そして誘拐事件は幕を閉じる。ああ、面白かった…と思いきや、まだまだページが残っている(紙の本っていうのは、こういうのが分かってしまうのが欠点の一つやね。私が電子書籍に期待することの一つは「あとどれくらい話が残っているのか分からない」という点だ)
 誘拐事件は終わったが、「ゲーム」はまだ終わっていなかったのだ。ゲームの本当の決着はつくのか、そしてその勝者は誰なのか…。

 得意のどんでん返しで、最後の最後まで存分に楽しんだ。
 しかし、最後のオチはちょっと弱かったような…。何がそんなに切り札なのか、とっさには分からなかった。そのように感じるのは私だけだろうか。



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2011年10月30日日曜日

2011天皇賞(秋)、スワンS  予想の回顧

 土曜はスワンS。◎エアラフォンはスタートがひと息で、中段を追走。道中は最内を進むも、外にもたれ気味。4コーナーではいい感じに見えたのだが、直線は伸びを欠き5着まで。揉まれてイヤ気が差したのだろうか。それにしても、案外な結果だった。
 このレース、「荒れる」という前提で予想したのだが、結果は1番人気-3番人気のワンツー。前提が間違っていたのだから、諦めるしかない。

 日曜は天皇賞(秋)。◎エイシンフラッシュは、好発を切り、3、4番手からの競馬。絶好の手応えで直線を向き、堂々と先頭に立った…ように見えたのだが、いざ追い出すと伸びず、ズルズルと後退。結果は6着だった。
 好枠から好スタートを切ったのだが、結果的にはそれが仇となったか。レコード決着のハイペースに巻き込まれてしまったのかもしれない。
 それにしても、外国人ジョッキーのワンツーですか。デムーロもスミヨンいないのに、相変わらずの存在感だ。来週からも目が離せない。
 勝ったトーセンジョーダンは、昨日の予想で推奨穴馬に抜擢した馬。予想はいい線いっているということで、来週につなげたい(反省せんのか)。

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書評 榊原洋一『大人が知らない子どもの体の不思議』(講談社ブルーバックス)

 かなり長い間、積ん読状態になっていたのだが、発掘されたので読んでみた。

 ベテラン小児科医が、子どもの体や心に関する疑問に答える本。特に初めて子育てをする新米ママ・パパが知りたくなるような疑問が並べられており、それに対して榊原さんが簡潔に答えるという形式が取られている。
「それって、育児本じゃん?」
と思ったあなた、正解です。
 本書はブルーバックスに収められてはいるものの、科学読み物というよりは、育児本である。したがって、科学的好奇心を刺激されるような内容(本来、ブルーバックスはそういうシリーズだと思うが)を期待するとガッカリだろう。しかし逆に言えば、子どもに関するちょっとした疑問に「科学的な」答えを求めている両親にはお勧めである。

 本書に並べられている疑問から、面白そうなものを独断でいくつか選んでみよう。

「粉ミルクで子どもを育ててもだいじょうぶって本当ですか?」
「二人目以降の子どもはアトピーになりにくいというのは本当ですか?」
「なぜうそをつくようになるのですか?」
「三歳までは母親が子育てをしないといけないって本当ですか?」
「早期教育用の教材は本当に効果があるのですか?」
「臨界期を過ぎてから習い事をはじめても効果がないって本当ですか?」

というところだろうか。
 そして、これらの疑問に対して「エビデンス・ベーストな」つまり「経験則や個人の思い込みではなく、科学的な」回答が用意されているのが本書の特徴である。そういう意味では、ブルーバックスに入っていてもおかしくないのだろう。

 子どもに関するちょっとした疑問に対して、客観的な答えを聞きたい人にはお薦めの一冊である。



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2011年10月29日土曜日

2011天皇賞(秋)  オレの予想を聞いてくれよ

 今週は天皇賞(秋)。古馬中長距離GI3連戦の開幕戦である。
 いま、JRAのCMではスペシャルウィークが勝ったときの映像が流れているが、私が「秋の天皇賞」と聞いてまず思い出すレースもこのレースである。
 前哨戦の京都大賞典で凡走し、調教でも動かず「もう終わったのでは」と人気を下げていたのだ。しかしレースでは、怒濤の追い込みで他馬をねじ伏せた。このシーンがCMで流れているわけだ。かっこよかったなあ。スポニチの井上泰さんがスペシャルウィークに自信の◎を打ち、ズバリ的中していたのも記憶に残るところである(珍しいからかも?)。

 今年は好メンバーが揃った。宝塚記念のメンバーに、ダークシャドウという新星が加わったという図式である。ヴィクトワールピサ、ヒルノダムール、ナカヤマフェスタがいなくてもこれだけのメンバーが揃うのだから、今の古馬陣の層は厚い。
 その層の厚いメンバーから◎に抜擢するのは、エイシンフラッシュ。前走の宝塚記念はアーネストリーブエナビスタに先着を許したが、府中の2000 mはこの馬の切れ味が最も生きそうな舞台だし、いい枠も引いた。内を豪快に突き抜けてもらいたい。
 相手本線はブエナビスタ。昨年のこのレースの映像がチラチラと流されているが、それを見る度に「ブエナビスタ、強いなあ…」とつぶやいてしまう。後ろを確認してから追い出すなど、GIではなかなか見られるシーンではない。つかないだろうが、4-5は厚めに押さえる。
 推奨穴馬はトーセンジョーダン。宝塚記念は一頓挫明けだったし度外視できる。今やこのレースの主要ステップレースとも言える札幌記念の勝ち馬の評価が低すぎないか。

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書評 宮部みゆき『レベル7』(新潮文庫)

 久々に読んだ宮部小説。うーん、やはり面白い。
 頭の芯が痺れるようなドンヨリした雰囲気の中で、ワクワク・ゾクゾクするストーリーが展開される。宮部さんの著作の中で、後の『理由』や『模倣犯』につながる位置づけの本なのだろうか。

 「記憶を失った男女」と、「失踪した女子高生を追う女性」という、二つの視点から話は進んでいく。ある日、起きたらすっかり記憶を失っていた男女。いったい自分たちは誰なのか、なぜこんなところにいるのか。そこへ一人の男が現れ、協力者となる。
 もう一方は、女子高生と仲良くなったある女性。なかなか他人にうち解けられない美人女子高生と電話相談室を通じて心を通わせたのだが、その女子高生が失踪。警察はアテにならないと、自ら捜索に乗り出す。
 そして、この二つのレールが重なるとき、すべての謎が明らかに…というストーリー。

 以上のようにあらすじだけ書くと、「記憶喪失」「怪しげな協力者」「謎の失踪」「それを追う素人」と、ありがちなテーマが並んでおり
「お約束な感じやなあ」
という印象を持つかもしれない。しかし、このお約束なテーマも、宮部さんにかかれば、ドキドキ、ワクワク、スリル満点のストーリーになってしまうのだ。このドキドキ、ワクワク感を味わいたい方は、ぜひ本書を読んでいただきたい。現在の日本を代表するストーリーテラーという評価も納得であろう。



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2011年10月28日金曜日

2011スワンステークス  オレの予想を聞いてくれよ

 土曜の京都メインはスワンステークス。マイルCSの主要ステップレースだったのだが、近年は天皇賞組や安田記念からの直行組に押され気味だ。京都大賞典のときにも感じたことだが、このところ、古馬GI戦線の前哨戦にあたる別定GIIのレベルが落ちてきているようだ。ローテーションの多様化、調教技術の進歩、海外遠征などさまざまな要因があるのだろうが、ちょっと寂しい気もする。

 そういう事情もあってか、近年、このレースは非常に荒れている。ここ5年、1番人気と2番人気は連対ゼロ。荒れ放題、食べ放題(意味不明)と言っていい状態である。

 今年もその流れが続くと見た。◎はエアラフォン。このレース、前走で人気を裏切った馬が人気を下げて穴を開けるというパターンが何度か見られる。前走の京成杯こそ1番人気を裏切ったものの、それまでは非常に堅実なレースを続けてきた馬だ。内枠有利の今の京都でいい枠も引いたし、ズバッと突き抜けてもらいたい。
 推奨穴馬は、オセアニアボス。今年の夏から調子が上がってきている。一発があるかも。

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2011年10月27日木曜日

2011ドラフト会議雑感

 私は関西に住んでいるが、巨人ファンである。一巨人ファンとしては菅野君が入団できず残念だ。
 しかし、今回の日本ハムの菅野1位指名には大賛辞を送りたい。いくら密着マークして、関係者を取り込み、1年前から1位指名を表明しても、また監督の甥っ子だからといっても、逆指名制がない以上、入団が保証されるわけではない。他球団がドラフトで指名するのは自由なのだ。
 1位で指名した選手に逃げられるリスクを承知で、巨人の囲い込み作戦に敢然と立ち向かった勇気を讃えたい。

 菅野君も、この勇気に免じて日ハムに入団してはどうだろうか(まったく大きなお世話だろうが)。ダルビッシュ、中田翔を初め、陽岱鋼、祐ちゃんなど、自前の選手の育成には実績がある。栗山新監督の手腕は不明だが、悪い球団ではないと思う。
 巨人には、FAで行けばいいやんか。札幌にはススキノもあるし、いいところやで。

【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...