2011年11月1日火曜日

書評 東野圭吾『ゲームの名は誘拐』(光文社)

 例によって母から借りた東野小説。
 これまた例によって、一気に読み終えてしまった。

 会社の重要なプロジェクトから更迭された、やり手のバリバリサラリーマンである佐久間が主人公。「ヤンエグ」という言葉がぴったり来るような男だ(死語やな…)。
 プロジェクトから外されてふてくされていた佐久間。何の気なしに、自分の更迭を指示した男の自宅へ向かう。その男とは、自動車会社の副社長である。ブラブラしていると、ひょんなことからその家の娘と出会う。そして佐久間は、その娘と共謀し、狂言の誘拐を企てる。その娘が誘拐されたことにし、身代金を奪おうというわけだ。そして「誘拐という名のゲーム」がスタート。佐久間と副社長の息詰まる駆け引きが繰り広げられる。というのが粗筋。

 いつも通り、グイグイとストーリーに引き込まれてしまう。身代金の受け渡しなど、圧巻の展開だった。

 そして誘拐事件は幕を閉じる。ああ、面白かった…と思いきや、まだまだページが残っている(紙の本っていうのは、こういうのが分かってしまうのが欠点の一つやね。私が電子書籍に期待することの一つは「あとどれくらい話が残っているのか分からない」という点だ)
 誘拐事件は終わったが、「ゲーム」はまだ終わっていなかったのだ。ゲームの本当の決着はつくのか、そしてその勝者は誰なのか…。

 得意のどんでん返しで、最後の最後まで存分に楽しんだ。
 しかし、最後のオチはちょっと弱かったような…。何がそんなに切り札なのか、とっさには分からなかった。そのように感じるのは私だけだろうか。



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