なるほど面白い。本書を読んで
「人生観が変わった」
という人が続出した(している)に違いない。
自称「おちゃらけ社会派」だそうだが、「おちゃらけ」と思っているのはおそらくご本人だけで、書いてある内容はほとんどおちゃらけていない。かといって、小難しいことが述べられているわけではなく、文章は非常に読みやすく主張も明確。なので、あっという間に読めてしまう。
また、タイトルは「ゆるく考えよう」なのだが、書いてあることはそれほどゆるくない。第1章が多少ゆるい程度だろうか。
内容はというと、さまざまな身の回りの事例を挙げて、独自の視点からその事象を斬る。普段、当たり前と思っていることがいかに当たり前ではないかを、さまざまな角度から示してくれる本である。
「おお、そんなことは知らなかった」
ではなく
「おお! そんな見方があったのか!!」
と思わせてくれる本だ。
ちきりんさんの独自の視点をよく示しているような例をいくつか挙げておこう。
(1)現在、世界第2位の経済大国である日本。この順位が落ちていくことに悲観的な人々を、次のように斬る。
世界には200もの国があります。その中で世界2位とは、トップ1%です。あなたは今まで自分の人生において、トップ1%を目指したことがありますか?
500人の高校で、勉強でも運動でも「俺はトップ5人になる!」などと思っていたでしょうか。たいていの人はそんなだいそれた希望を持ったことはないはずです。
(2)少しでも良いところに就職しようと「就職予備校」に通う学生や、「実力をつけたい」と習い事に精を出す人々を、次のように斬る。
「お金を払うより、お金を稼ぐほうが学べるし成長できる」というのは一般的な法則です。(中略)学生は15万円を払って就職予備校に通うより、近くのコンビニか弁当屋でアルバイトをし、「他のバイトより15万円多く売り上げる!」という目標を立て、工夫と努力でそれを実現すれば、おそらく就職予備校に通うよりよほど多くのものを学べます。(中略)学びたければ金を稼げ、金を払っている場合じゃないってことなのです。
(3)「○○がなければ、私の人生もっと△△なのに」「どうしてお茶をこぼすのよ。毎日毎日、何回そうじさせれば気が済むの!」など、ついついネガティブな方向に目がいってしまう人に対しては、次のように斬る。
ちきりん家には「よかった確認」という習慣があります。(中略)道に迷ったときに「ダイエットになってよかったね」というくらいは序の口で、誰かが飲み物をこぼすと、床を拭いた後、「汚れていた床の掃除ができてよかった」といいます。
てな調子だ。あまり長文と引用するわけにもいかないので上記を例に挙げたが、本書にはもっともっと面白い話題が満載である。
それぞれの話題は独立しているので、半信半疑な方も、まずは立ち読みしてほしい。2、3の話題を読んで
「あ、ちょっと面白いかも」
と思った人は即、買いだ。
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