このオートファジーの存在自体はかなり昔から知られていたらしいが、あまり誰も注目していなかった。それが、ここ10年ほどで、非常に注目を浴びる研究分野となってきた。そこで、本書のように、一般の人に新書というかたちでオートファジーを紹介しようという動きも出てきたということなのだろう。
ただし、本書はけっこうレベルが高い。タンパク質や細胞について、高校の教科書レベルの知識を持っていないと、スイスイ読むのは難しいだろう。しかしこれは、著者のかみ砕き方が足りないせいとは言い切れない。オートファジーという、細胞内で起きる現象を説明するのだから、細胞やタンパク質の最低限の知識が必要なのは仕方がない。
そういう知識を前提とするなら、本書は非常によくまとまっている。オートファジーの概略(1章)、研究の歴史(2章)、各種オートファジーの解説(3~7章)、オートファジー研究の最前線(8章)と、オートファジーを一通り知ることができる内容になっている。
ある程度、生物の知識のある人が、オートファジーの入門書として選ぶには最適の一冊である。
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