2016年8月24日水曜日

【映画評】『予告犯』(2015)

現代社会の矛盾を巧みに取り込んだエンターテインメント作品


 「ジャンプ改」に連載されていたマンガを映画化したもの。原作マンガは読んでいないのだが、問題なく楽しめた。
 マンガが原作ということもあり、基本はエンターテインメント作品である。「シンブンシ」をかぶった犯人がネットを使って私的制裁を予告し、それを公開するというインパクトが、本作の刺激性を高めている。
 次は誰が狙われ、どういう制裁を受けるのか。思わず引きずり込まれてしまう。

 しかし後半は一転、予告犯側に焦点が当てられる。いったい誰が公開制裁を行っているのか。そこには、社会からこぼれ落ちてしまった者たちの憤怒があふれていた。
 現代社会の矛盾を巧みにストーリーに取り込み、格差社会の問題点をあぶり出す。ネットが重要な鍵を握るのも、臨場感を高めている。単なるエンターテインメントに終わらず、作品に一つのバックボーンを与えることに成功していると言えるだろう。

 主演の生田斗真はいい感じだった。でも、ちょっとイケメンすぎるかなあ。警察役の戸田恵梨香は、うーん…。頭が悪そうな美女は適役だが、ここに主要キャストを配する意味がなかったような…。

 原作マンガも読んでみようかな。

《あらすじ》
 シンブンシをかぶった犯人がネットで犯行を予告し、個人に制裁を加える。制裁を加えられるのは、小悪党。大犯罪者などではなく「バイト先でゴキブリをフライにする」ような、みみっちいバカがターゲットだ。「ネットで炎上する」代わりに、実際に肉体的・精神的な制裁を加えられるようなイメージである。

 一方、誰が何のために予告→制裁を繰り返しているのか。後半は犯行を行う側、すなわち「予告犯」側に視点が移る。予告犯はグループであることが明らかになる。どこで、どういう繋がりを持った者たちによる犯行なのか。そのきっかけは意外なところにあった。



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