2011年10月6日木曜日

知ってるようで知らなかったノーベル賞 その8

まとめ

 ここまで、ノーベル賞の歴史、賞金、受賞者の選定などについて順に見てきたわけだが、いかがだっただろうか。ここまで有名な賞なので、何かオフィシャルな賞のように感じていた方もいるだろうが、非常に私的な賞であることがおわかりいただけたと思う。
 その選考過程の詳細も明らかにされていないし、また、信憑性のある噂もそれほど流れてこないところから考えると、関係者の箝口令も厳重にしかれているのだろう。そういった秘密主義的なところも、人々の関心を高める要因の一つになっていると考えられる。

 少し話はそれるが、箝口令に関して少し書いておきたい。文学賞や平和賞では、誰が最終選考まで残ったかということが漏れ聞こえてくる。最近では、文学賞で村上春樹氏が、平和賞でゴア元アメリカ副大統領が最終選考に残っているという噂が流れたのがその例である。報道の様子などから察すると、噂というよりは、おそらく事実なのだと思われる。それに対して、物理学賞や化学賞などの、理系の賞ではそういう話はあまり伝わってこない。伝わってくる話も、噂の域を出ないものが多いように思う。この違いがどこから来ているのかはわからないのだが、興味のあるところだ。

 話を元に戻そう。このような私的な賞であるノーベル賞だが、その影響力はみなさんもご存じの通りである。「50年間に30人のノーベル賞受賞者を排出する」なんていうことを、政府がまじめに宣言している国だってあるくらいだ(私がいま住んでいる国の話です)。
 ノーベル賞が誕生してから100年と少し。関係者の努力、とくに受賞者をいかに選ぶかという努力によって、賞の権威が支えられている。政府や大企業の援助も受けず、独力で賞金などの経費を確保し、受賞者の選考を行っているこの章を、私は評価したい。しかし、その権威に盲従し、ノーベル賞を取るために研究をするとか、ノーベル賞を取るような研究者を養成するとか、そのような態度は賞の趣旨にも反するのではないだろうか。

 今年も10月に受賞者が発表される。どのような人が受賞するのか、日本人の受賞はあるのか、引き続き注目していきたい。

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