2019年9月11日水曜日

【読書メモ】松原隆彦『宇宙に外側はあるか』(光文社新書)

 書名にもなっている「宇宙に外側はあるか」という疑問の答えは、「ない」という説が現在では有力らしい。

「ないってどういうこと? じゃあ、宇宙の外側には何があるの?」
「だから、外側はないんだよ」
「ないっておかしいよね。宇宙の境界の向こうには何があるの?」
「だから「境界の向こうはない」んだよ」

というやりとりがエンドレスで続きそうだが、その疑問にもたとえを用いて分かりやすく答えてくれる。

 この疑問は本書のごく一部であり、現在の宇宙論全体を、一般向けに易しく解きほぐした本だ。量子論の誕生により、宇宙についてこの100年でかなりいろいろなことが理解されたが、それでもまだまだ謎だらけだということがよく分かった。先日も「135億年前の銀河を観測」というニュースがあったが、本書を読めば、それがどういう意味を持つ成果なのかを実感できるだろう。

 だいたんな比喩で、一般人にも分かりやすい記述が光る。宇宙論の入門書に最適。

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