2012年5月17日木曜日

書評 東野圭吾『あの頃ぼくらはアホでした』(集英社文庫)

 東野小説をたくさん読むうちに、東野圭吾さんという人間に興味が湧いてきた。手を変え品を変え、次々と魅力的なミステリーを書いていくスーパー小説家であることはもちろんよく分かるのだが、何でも大阪出身で、しかも大学は理系の学部だというではないか。
「どういう人なんだろうなあ」
と思っていたところに本書を見つけ、購入。「東野さんも、ぼくらと同じアホでした」ということが分かって安心した(笑)。

 本書は、東野さんが中学、高校、大学時代を振り返って書いたエッセイ集。中学時代から順に、ほぼ時系列順にまとめられている。
 東野さんは大阪のちょっとガラの悪い地域のご出身らしく、中学はえらく荒れていたようだ。私も大阪府出身なのだが、私よりも一回り以上年上なので、私の時代とはずいぶん雰囲気が違う。私の中学・高校時代には、腹巻きなどしてる輩はおらず、ヤンキーといえば短ラン・ボンタンがユニフォームだった(フォーゼの影響で、また短ラン・ボンタンが流行ったりするんだろうか)。
 そんな荒れた中学時代から始まり、高校を経て、大学を卒業するまでのエピソードが面白おかしく書かれている。ワル生徒たちとの交流(?)、怪獣番組、定期券の不正使用、浪人、大学の体育会系のノリなど、さまざまなネタを軽やかなタッチで描くところは、さすが東野さんである。一昔(いやもっと昔か)の大阪の雰囲気が漂っており、なんだか懐かしい感じがした。私でさえそうなのだから、同世代の方が読めば懐かしさ倍増ではなかろうか。

 東野小説を通り越して、東野さん本人に興味を持っている人には是非お薦めの一冊である。



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1 件のコメント:

  1. とても魅力的な記事でした!!
    また遊びに来ます!!
    ありがとうございます。。

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