ホルモンと聞いて「肉」しか思い浮かべない人は、読まなくていいかも…
人体の仕組みを解説した本はたくさんある。しかし本書は「進化」を軸に話を展開する点がユニークである。魚類やは虫類など、さらには植物と対比することにより、ヒトの内蔵の仕組みが分かりやすく解きほぐされる。
「あ、なるほど。だからこうなっているのか」
と腑に落ちることが多々あった。たとえば内分泌系。一般的には、動物の行動を支配しているのは神経系(脳)であると思われているが、われわれの行動、特に「気分」は内分泌系(ホルモン)によってコントロールされている。コーヒーや栄養ドリンクの市場の大きさがその証明である。
内分泌系はそのように重要なのだが、ピンとこない人が多いだろう。ホルモンと聞いたら、てっちゃんやもつ鍋を想像する人がほとんどに違いない。
その理由は、内分泌系を司る内臓が散在しているからなのだ。呼吸器系を担う心臓や肺、消化器系器官である胃や腸のように、まとまっていない。内分泌を司る器官は脳、甲状腺、膵臓など、さまざまな場所に散らばっているのだ。
どうして、そうなっているのだろう? この疑問に答えてくれるのが本書。進化の過程を見ることにより、なぜこうなったのか(ならざるを得なかったのか)がよく理解できるのだ。
もちろん本書では、内分泌系以外の内臓もきちんと説明されている。
なぜヒトはこんな形をしているのか。その疑問に答えてくれる良書。
【目次】
第1章 内臓の基礎知識
第2章 呼吸器系の進化
第3章 消化器系の進化
第4章 泌尿器系の進化
第5章 生殖器系の進化
第6章 内分泌系の進化
第7章 昆虫類の内臓
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