2022年1月27日木曜日

【読書メモ】シッダールタ・ムカジー『遺伝子―親密なる人類史―』(ハヤカワ文庫NF)

 メンデルの法則からゲノム編集まで、遺伝学(分子生物学・遺伝子工学)の歴史をたどった大著だ。誕生から最新の知見までを通して見ることにより、遺伝学の現在の立ち位置がよく分かる。

 「遺伝」という現象が存在することは、昔から分かっていた。なぜなら、子は親に似るからだ。
 19世紀になり、メンデルが遺伝の法則を発見して遺伝子の存在が示唆された。一方、ダーウィンが進化の概念を確立して、ヒトも動物の一種であることが明らかになった。20世紀に入ると、遺伝子の実体がDNAであることが分かり、ワトソンとクリックが遺伝の仕組みを解き明かした。遺伝は化学的な現象であることが、ついに明らかになったのだ。
 それから半世紀が過ぎ、ヒトは、ついに自らの設計図(DNA)を書き換えることが可能になった。人類史上、最大のターニングポイントといっても過言ではないだろう。

 近い将来、遺伝子組換え人間は実現するに違いない。よく分からないまま、その現実を受け入れるだけでよいのだろうか。「よくない」方は、ぜひ本書を読んでほしい。







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